業務効率の向上のための施策にはさまざまなものがあります。その中でも、機能的なオフィスデザインの実現は、業務効率・質の改善のために欠かせません。本記事では、オフィスレイアウトにおけるポイントや機能的なオフィスを実現させるコツをまとめて紹介します。本記事を参考にして、ぜひ業務改善に取り組んでみてください。
オフィスレイアウトを考える際のポイント
まずは、オフィスレイアウトを考える際のポイントを紹介します。
コンセプトを決める
オフィスレイアウトを検討する際には、はじめにコンセプトを決めることが重要なポイントとなります。オフィスデザインにおけるコンセプトは、新しい内装やレイアウトによって何を達成したいのか、どのような働き方を実現したいのかといった目的を整理する軸の役割を果たします。
たとえば、従業員一人一人が業務に集中しやすいオフィスにしたいのか、それとも部署間・メンバー間のコミュニケーションを活性化させる開放的な空間を目指すのかによって、設計の方向性は大きく変わるのです。コンセプトをしっかりと定めておくと、その後の家具選びやゾーニング計画、照明計画なども一貫性を持って進めやすくなり、結果として働きやすく魅力的なオフィス環境を実現できます。
業務内容に合ったレイアウト
次に重要となるのが、業務内容に応じた最適なレイアウトの適用です。企業やオフィス全体としての統一感を持たせることも大切ですが、同じ会社内であっても部署ごとに業務内容や求められる環境は大きく異なるケースが少なくありません。
たとえば、営業部や企画部のように頻繁に打ち合わせやコミュニケーションが発生する部署では、メンバー同士が顔を合わせやすく、意見交換をスムーズに行えるレイアウトが望ましいです。一方で、経理部や総務部といったミスを防ぐために高い集中力が求められる部署では、周囲の雑音や人の出入りが少なく静かで落ち着いた環境作りが重要です。各部署やチームの業務特性を踏まえたレイアウトを考慮すると、個々の社員が自分の業務に集中でき、生産性向上を図れます。
機能的なオフィスレイアウトを実現させるためのコツ
業務効率化は働く環境に大きく依存する要素であり、オフィスのレイアウトが生産性を左右するといえます。以下では、機能的なオフィスにするために意識すべき5つのポイントを紹介します。
スペースのバランスを保つ
まず、適切な間を設けることです。快適に作業を進めるにはワークスペースと空間とのバランスが重要で、理想はワークスペースが全体の3割、何も置かない空間が7割です。適切な間を設けることで、圧迫感を減らし、移動や作業のしやすさを確保できます。
オフィスが狭く、適切な間を維持するのが難しい場合でも、省スペース設計の家具を使い工夫すると、動線や快適性を損なわずに機能的なレイアウトを目指せます。デスクと壁面、デスク間の距離を一定以上確保することもポイントで、たとえばデスクと壁面の距離は1200mm以上が目安とされています。
関連部署同士を近くに配置する
次に、関連度が高い部署を近くに配置することも重要です。部署ごとの業務に関連性がある場合は、物理的な距離を近くすると、移動時間を短縮し、連携を円滑にできます。
たとえば、営業部と営業サポート部、企画部とマーケティング部のように、密接にやり取りを行う部署を隣接させれば、報告や確認のための移動が減り、効率化が図れます。オフィスレイアウトを考える際には、自社の組織図や業務フローを基に部署間の相関関係を図にして整理するとよいです。
職種に合ったデスク配列にする
三つ目のポイントは、職種に合ったデスク配列を採用することです。デスク配列には対向式や背面式、スクール式、フリーアドレス式、ブース式などさまざまなパターンがあり、職種や働き方に応じて適した配置が異なります。
たとえば、コミュニケーションが多いグループワーク中心の職場なら対向式や背面式が向いています。一方、集中して作業する必要があるプログラマーやデザイナーにはブース式が効果的です。外回りが多くオフィスに常駐しない営業職が多い部署には、固定席を持たず空いている席を自由に使えるフリーアドレス式が機能的です。
その他にもクロス型やベンゼン型など、職種や組織文化に合わせて最適な配置を検討する必要があります。
従業員の意見に耳を傾ける
四つ目は、従業員の意見を反映することです。実際にオフィスで働くのは社員たちであり、レイアウトを決める段階で現場の声を取り入れることで満足度の高い環境が実現します。
たとえば、通路を広くしてほしい、昇降式デスクを設置してほしい、観葉植物でリラックスできる空間をつくりたいといった要望は、社員の生の声だからこそ見えてくる課題です。もちろん全てを反映するのは難しい場合もありますが、意見を聞いた上で取捨選択し、デザインや機能性に反映すると、モチベーション向上や生産性アップにつながります。
重要なのは、特定の層の意見だけを重視せず、性別や年齢、立場にかかわらず幅広く意見を集めることです。
動線をすっきりさせる
最後に、動線をシンプルにすることが挙げられます。動線とは、社員がオフィス内で移動するルートを指し、快適で無駄のない移動ができる動線計画が不可欠です。動線には、ほとんどの社員が利用するメインルートと、特定の部署や目的に合わせて使われるサブルートがあります。
理想的なオフィスは、メインルートから目的地まで最短かつシンプルにたどり着けるように設計され、無駄な曲がり角や行き止まりを作らず、回遊性のある動線確保で業務の効率化が図れます。さらに動線計画は、避難経路や建築基準法など法規面にも影響するため、安全面も考慮しながら設計することが大切です。
まとめ
機能的なオフィスデザインは、単なる見た目の美しさだけでなく、業務効率や従業員のモチベーション向上に大きく寄与します。コンセプトの明確化、業務内容に合わせたレイアウト、職種に合ったデスク配置、従業員の意見の反映、そしてシンプルな動線設計といったポイントを押さえることで、快適で生産性の高い職場環境を実現できます。働きやすさを追求したオフィスづくりを、ぜひ本記事を参考に進めてみてください。