
オフィスは単に仕事をするスペースではありません。従業員の生産性や集中力、モチベーションなどにつながる重要な要素です。そのため、オフィス環境を改善したいと考えている方も多いでしょう。そこで今回は、最新の魅力的なオフィスデザインをピックアップし、それぞれどのような効果が期待できるのかを解説します。
- 2025年注目のオフィスデザインのトレンド
- 最新トレンドを取り入れるメリット
- トレンドを反映したオフィス作りのポイント
CONTENTS
オフィスデザインがもたらす影響
日々多くの時間を過ごすオフィス空間は、従業員の働き方や気持ちに大きな影響を与えます。まずは、オフィスデザインがもたらす影響力についてみていきましょう。
集中力と創造性を高める空間づくり
仕事の大半を過ごすオフィスが雑然としていたり、古くさく暗い雰囲気だったりすると、自然と気分も沈みがちになります。
一方で、清潔で整理された空間や、デザイン性のあるおしゃれな内装のオフィスでは、気持ちよく仕事に取り組むことができ、精神的なストレスも軽減されやすくなります。
また、環境が整うことで業務への集中力も高まり、創造的なアイデアが生まれやすくなるといった効果も期待できるでしょう。
快適さと効率を両立する環境設計
オフィスを美しく整えるだけでなく、動線を意識した配置やレイアウトの工夫により、社員が快適に働ける環境を整えることも可能です。無駄な移動が少なくなることで作業効率が上がり、日々の業務がスムーズになります。
また、リフレッシュスペースやカフェのような休憩エリアを取り入れることで、仕事の合間に気持ちを切り替えることができ、社員の満足度向上にもつながります。
こうした配慮が、働く人のモチベーションや定着率を高めるポイントになるのです。
自然な会話が生まれるレイアウト
オフィスデザインを工夫することで、社員同士のコミュニケーションを活性化することができます。
たとえば、共有スペースを広く設けたり、仕切りの少ないオープンなエリアを設けたりすることで、自然と声をかけやすい雰囲気が生まれます。
また、立ち話ができるハイテーブルや、気軽にミーティングができる小さなスペースを設けるのも有効です。
部署や立場を超えた交流が生まれることで、業務連携がスムーズになり、チーム全体の活性化にもつながっていきます。
企業らしさを体現する場として
オフィス空間に自社のブランドや理念を反映させることで、社員の意識にも自然とそのイメージが根づいていきます。
たとえば、企業カラーを取り入れた内装や、会社のビジョンを掲げたアートやサインを設けることで「この会社の一員である」という帰属意識を高める効果が期待できるでしょう。
オフィス全体が企業の価値観を体現する場となることで、社員同士の一体感が生まれ、共通の目標に向かって働く意識が育まれていきます。
オフィスデザインで意識するポイント
働く人にとって快適で効率的な空間をつくるためには、ただ見た目を整えるだけではなく、目的や使い方に合わせたオフィスデザインが重要です。
以下では、オフィスデザインを行う際に意識すべきポイントを紹介します。
現場の声を反映した空間づくり
オフィスデザインを検討する際、まず意識したいのは実際にそこで働く社員の意見を取り入れることです。
経営層や担当者だけの視点で進めるのではなく、現場の社員が日々感じていることや、こうだったら働きやすいという希望を集めることで、実用性の高い空間設計が可能になります。
また、オフィスデザインのプロセスに社員が関わることで「自分たちのオフィスをつくっている」という意識が芽生え、自然と一体感や満足感が生まれやすくなります。
多様な声を反映したオフィスは、使いやすさだけでなく、働く人にとって心地よい場所となり、日々のモチベーション向上にもつながるでしょう。
オフィスの軸となる方針を定める
オフィスデザインにおいて重要なのは、まず会社としてどんな働き方を理想としているのか、その方向性を明確にすることです。
たとえば「集中できる環境を重視する」「チームワークを活性化させたい」「フレキシブルに働ける空間にしたい」など、目指すスタイルによって設計は大きく変わってきます。
このような働き方のコンセプトが定まっていないと、見た目は整っていても統一感のないオフィスになってしまいがちです。デザインの軸が明確であれば、内装やレイアウト、使う素材やカラー選びも一貫性のあるものとなり、空間全体にまとまりが生まれます。
企業らしさを表す色の活用
企業のブランディングにおいて、コーポレートカラーは重要な要素のひとつです。このカラーをオフィス内に取り入れることで、外部からの印象だけでなく、社内にも一体感や帰属意識を育む効果があります。
たとえば、受付や会議室に企業カラーを取り入れると、来客者にも視覚的に強く印象づけることができますし、社員にとっても自分たちの会社らしさを感じられる空間になるでしょう。
また、壁や家具、アクセント小物など、色の使い方を工夫することで、過度にならず自然に企業イメージを反映させることができます。ブランディングと社員のロイヤルティ向上、両面で効果を発揮する要素です。
働き方に合わせたゾーニングの工夫
理想的なオフィス空間をつくるためには、社内でどのような働き方が行われているかを把握し、それに合わせた導線やゾーニングの計画を立てることが大切です。
たとえば、集中して作業に取り組むエリアと、打ち合わせや雑談がしやすいエリアとを明確に分けることで、どちらの活動もスムーズに行えるようになります。
また、よく行き来のある部署間は近くに配置するなど、無駄な移動が減るような工夫も必要です。こうした導線設計がしっかりしていると、日々の業務におけるストレスが減り、自然と作業効率も高まります。
働くスタイルに合ったレイアウトを選ぶ
オフィスレイアウトは企業の規模や業種、社員同士の関わり方によって最適な形が異なります。
たとえば、プロジェクト単位で動く企業では、グループごとに机を向かい合わせに配置するレイアウトが適しているかもしれません。
一方で、個々の業務に集中することが求められる環境では、背中合わせで配置したり、パーテーションで区切って個人のスペースを確保するレイアウトが効果的です。
企業の機能や求める働き方に合ったレイアウトを検討することで、自然と業務効率や社員の快適性が向上します。柔軟な発想と実情に即した設計が求められます。
働きやすいデスクレイアウトは?
オフィスの快適さや業務効率を左右する要素のひとつが、デスクのレイアウトです。代表的なスタイルを知って、理想の働き方に合ったレイアウトを検討してみましょう。
向き合って働くスタイル「対向型」
対向型レイアウトは、デスクを向かい合わせに配置してチームやグループで一か所に集まる形式です。
グループ内の情報共有や声かけがしやすいため、連携が必要な業務に向いています。お互いの仕事ぶりが見えることで、進行状況を把握しやすくなるのも特徴です。
ただし、人の動きや声が気になって集中しづらいという声もあり、業務内容やチームの性質に合わせた工夫が求められます。
用途に応じて形を変える「多目的スタイル」
多目的スタイルは、使用目的に応じてレイアウトを素早く変えられる柔軟な配置が特徴です。
たとえば、必要に応じてデスクをつなげて会議スペースをつくったり、個別作業に適した配置に変えたりと、状況に応じた対応が叶います。
固定のレイアウトにとらわれず、限られたスペースを効率的に使える点も魅力です。変化に強い働き方や、クリエイティブなチームにとって特に効果的なスタイルといえるでしょう。
集中力を重視するなら「背面型」
背面型のレイアウトは、社員同士が背中合わせになるようにデスクを配置するスタイルです。お互いの視界に入りにくいため、個人の作業に集中しやすく、静かに仕事をしたい人に向いています。
また、部署やチーム単位で近い位置に席を設ければ、必要なときにすぐコミュニケーションを取ることも可能です。集中力と連携のバランスをとりたいときにおすすめの配置といえるでしょう。
自由に選べる働く場所「フリーアドレス」
フリーアドレスとは、座席を固定せずに好きな場所で業務を行うスタイルです。
その日の予定や気分に合わせて「今日は窓際で作業しよう」「今日はあの人の近くに座って相談しながら仕事を進めよう」など、柔軟に働くことができます。固定席がないことで部署間の垣根が下がり、自然とコミュニケーションの幅も広がります。
最新トレンドその1「ホスピタリティ」
近年、オフィスデザインにおいて「ホスピタリティ」が重要なテーマとなっています。新型コロナウイルスの影響によってリモートワークが普及したと同時に、働く環境への考え方が大きく変化しました。
自宅やカフェなど、さまざまな場所で業務を行う習慣が広がる中で、オフィスには単なる作業スペース以上の役割が求められるようになっているのです。そのため、従業員が快適でリラックスできる空間づくりに注目が集まっています。
そして、オフィスのホスピタリティを高めていくうえで「オフィスのホテル化」が注目されています。オフィスのホテル化とは、オフィスの内装や設備にホテルや空港ラウンジなどのホスピタリティ空間の特性を取り入れるという考え方です。
具体的には、柔らかいソファや自然光を取り入れた明るい空間、リラックスできる休憩スペースなど完備されているといったことが特徴です。

最新トレンドその2「サステナビリティ」
「サステナビリティ」もオフィスデザインにおける重要なテーマとなっています。企業の社会的責任(CSR)への関心が高まる中、環境や社会に配慮したオフィスの設計が注目を集めています。
単なる見た目の美しさや利便性を超えて、持続可能な要素を取り入れることで、企業の価値を高める取り組みが広がっているのです。
また、サステナブルなオフィスデザインの魅力は、企業のブランドイメージを向上させるだけではありません。たとえば、リサイクル素材を使用した家具や装飾、省エネ性能の高い照明、再生可能エネルギーを導入するといった工夫は、環境への負荷を減らすだけでなく、従業員の健康や精神面などにもメリットが期待できるのです。
自然光を効果的に活用した設計や、空気の質を高める緑化スペースの導入は、従業員のストレス軽減や集中力の向上につながるのです。
さらに、サステナビリティに配慮したデザインは従業員の意識向上も期待できます。サステナビリティに配慮した空間で働いているという意識を持てることで、従業員一人ひとりが社会や環境に貢献していると感じられるようになるからです。
また、省エネ設備の導入など、持続可能な取り組みは運用コストの削減にもつながり、企業にとって実質的な利益をもたらす要素もメリットといえるでしょう。
最新トレンドその3「アウトドア」
近年、オフィスデザインにおいてアウトドアの要素を取り入れることもトレンドとなっています。オフィスとアウトドアをどのように組み合わせるのか疑問に感じるかもしれませんが、アウトドアが職場にあることで、従業員の健康やウェルビーイングの向上につながるのです。
たとえば、植物や自然光を活用するデザインなどが挙げられます。観葉植物や壁面緑化をオフィスの内装に取り入れることで、自然に近い雰囲気を演出できます。
また、大開口を設けて開放的で明るい空間に設計することで、従業員がリラックスしやすい環境を生み出すことが可能です。また、オフィスにアウトドア要素を取り入れることで、自然に触れることが少ない都会の生活の中で、働く時間を通じて穏やかな時間を感じられることもメリットといえるでしょう。
また、緑のある空間で働くことで、心が落ち着き、頭がクリアになる感覚を持つ人も多いです。自然に囲まれたオフィス環境は、従業員の集中力や創造性を向上させる効果があります。
さらに、従業員同士のコミュニケーションが円滑になったり、オープンな雰囲気の中で創造的なアイデアが生まれやすくなったりする効果も期待できます。そのほか、リラックスした心地よい空間で仕事を進められることは、従業員の満足度向上にもつながります。
従業員個人のパフォーマンスを向上させることができれば、企業全体の生産性向上や離職率の低下など、複合的なメリットも得られます。つまり、アウトドア要素を取り入れたオフィスデザインは、従業員の心身の健康を守りながらより良い働き方を実現するための重要なポイントなのです。
まとめ
従業員の生産性やモチベーション、企業のブランドイメージ向上などを目的として、オフィスの環境改善に取り組む例が増えています。最近では「ホスピタリティ」「サスティナビリティ」「アウトドア」の3つの要素を取り入れるオフィスの環境がトレンドとなっているのです。トレンドからもわかるとおり、オフィスは単に仕事をする場ではなく、従業員や企業に対してプラスの要素を与えられる場所として再検討されています。オフィスの環境改善に取り組むときは、最新のトレンドを意識しながら「従業員や企業にとって最も有益な環境とは何か」を意識して場所や内装などを検討してみるとよいでしょう。