
レイアウトにこだわりやすい小規模オフィスは、コストを抑えられるなどのさまざまなメリットがあります。一方で空間を有効に利用できていないと狭く感じたり、収納が十分ではなかったりと、不便な面が目立ちやすい傾向にあるため、注意しなければいけません。今回は小規模オフィスの良さを上手に引き出す、レイアウトづくりのポイントを紹介します。記事の内容を参考にして、社員が快適に過ごせるオフィスをつくりましょう。
オフィスレイアウトのイメージを固める
小規模なオフィスは企業のこだわりを反映しやすいというメリットがあり、オフィスの雰囲気をつくり込み、企業のコンセプトをアピールすることも可能です。レイアウト次第で印象が大きく変わるという特徴があるため、企業にとってプラスになる雰囲気をつくるための秘訣を押さえましょう。
事前にチェックすること
レイアウトをつくり始めるときは目的を明確にしたうえで、理想のレイアウトを実現するのに必要な情報をまとめます。
新しいオフィスのレイアウトによって解消したい課題をはっきりさせることで、レイアウトづくりの考え方も変わるでしょう。なんとなくおしゃれなレイアウトにしたいという目的でも、課題を見つけることで「閉塞感のある雰囲気を解消し、開放的な空間にする」といった、具体的なイメージが加わります。
小規模なオフィスでは、理想の条件を全てクリアするには困難なこともあるため、レイアウトの目的を一つの軸にすることで、実現可能な範囲が見極められるでしょう。
目的の整理と合わせて、実際の従業員数やオフィスの面積を確認します。規模が小さいからといって、なんとなくでレイアウト変更を進めて失敗しないために、正確な数字を把握しておくことが大切です。
最初に収納や設備の面積は先に確保しておくことで、レイアウト変更後も支障なく業務に取り組めます。
発信したいイメージづくり
社内の空間をデザインし、企業のコンセプトを演出することも考えておくとよいでしょう。ミーティングルームや応接室などの空間演出を工夫しておくことで、来客時に企業のイメージを発信しやすくなるというメリットがございます。
オフィスの雰囲気を演出する際の決め手となるのが、統一感です。内装はナチュラルなのに家具が個性的なデザインであったり、ミーティングルームとデスクのあるスペースでは印象がちぐはぐであったりと、統一感のない空間であることで企業の印象も変わってしまいます。
家具や内装が自然に調和の取れた空間がつくれるため、最初に決めたレイアウトのコンセプトに沿って選んでいくのがおすすめです。小規模オフィスならではの自由なレイアウトで、企業戦略の一部となる魅力的な空間を演出しましょう。
働き方を見据えた実用性のあるゾーニング
スペースに限りのある小規模オフィスは、什器の配置やスペースの区切り方に工夫をしなければいけません。企業の稼働状況により、適したスペースの活用法はさまざまであるため、ゾーニングのヒントや注意点を紹介します。
社内の稼働状況に合わせたゾーニング
社内の働き方に合わせたゾーニングができると、無駄なスペースを省いた効率のよいオフィス空間がつくれます。オフィスに出社する内勤者が少ない企業と、内勤者の多い企業では、それぞれに適したデスクスペースの面積や形が異なるため、稼働状況を把握することが欠かせません。
リモートワークや外勤の多い企業では、一人当たりに割り振るスペースがそこまで広くなくてもストレスにならないケースもあり、フリーアドレスのデスクを取り入れるのもおすすめです。内勤の社員が多い場合は、オフィスの面積を考慮したうえで、一人当たりに必要な広さを確保しつつ、業務に適したデスク配置を見つけましょう。
狭い空間を割り振るときに後回しにしてしまいがちなのが、ミーティングスペースです。稼働する機会がワークスペースに比べて少ないため忘れてしまいやすいですが、社内の会議だけではなく来客者と使用するケースもあるため、落ち着いて会話できる空間をあらかじめ確保しておきましょう。
利便性に配慮した家具配置
社内の状況に合わせたワークスペースやミーティングスペースのゾーニングをしたところで、家具の配置を工夫して利便性のよい空間をつくります。小規模なオフィスでは一つの空間に、いくつかのスペースを割り当てることもあるため、壁の代わりに家具を駆使して部屋を区切るという工夫が欠かせません。
パーテーションで区切るという手段もございますが、本棚や収納キャビネットを利用することで収納を確保しながら周囲の視線を遮れるため、スペースを有効に活用できます。本棚や大きなパーテーションは圧迫感を与えることもあるため、部屋の用途によっては背の低いパーテーションを用いるのもおすすめです。
家具の配置に関しては、家具そのものの大きさが通路幅や動線に影響していないかを考え、デザイン性だけで選ばないように気を付けましょう。デスクの大きさも、作業のしやすさと通路幅が充分に確保できるかどうかで検討すると、機能的なワークスペースがつくれます。
快適なオフィスづくりに欠かせない工夫
社員にとって快適な職場環境をつくることは、仕事のやる気アップや離職率低下にも影響します。快適な職場には、清潔感や安全性、ストレスへの配慮という点が大切であり、小規模オフィスで条件をクリアするためにできる工夫を、覚えておきましょう。
社内の安全を守る配置
小規模のオフィスでは、ワークスペースと同じ空間に応接室や会議スペースを置かなければならない場合もあり、社内の機密情報を守るセキュリティ対策に工夫が必要です。特に来客者の多い企業では、社外の人物が入れるスペースを限定できるように、来客用の待合室を用意するのもよいでしょう。
セキュリティ面だけではなく、社員の安全を守る対策も重要です。感染症対策のできる設備が整っているか、法令に遵守した通路が確保されているかどうかも確認しながら、レイアウトを決めましょう。
快適な環境整備の工夫
快適なオフィス空間をつくるために、勤務中の社員のストレスに配慮した対策が欠かせません。小規模オフィスでは、ひとつの空間を区切るパーテーションが重要な役割を持っていますが、使い方によっては圧迫感を生み出し空間の狭さを強調してしまいます。
狭い空間を開放的に見せるために、パーテーションの素材や高さを使い分けたり、照明の効果で広く見せたりといった工夫をしましょう。
コンパクトなオフィスは、ワークスペースとお手洗いの位置が近く、音が気になるというケースもあるため、音に関する対策も必要です。会議の話し声や水場の音などの防音対策にも気を付け、社員が集中して仕事に取り組める環境整備をしましょう。
将来を考えた柔軟なレイアウト
状況の変化に応じて、柔軟に対応できるレイアウトかどうかも考えられるとよいでしょう。社員が増えてデスクのスペースが足りず、オフィスを移転しなければ解決しないといった問題が発生するかもしれません。
増員した際に社員の働き方を変えるという対策とあわせて、割り当てたスペースの稼働状況も考慮してゾーニングを変更できれば、余計な出費を防げます。将来の企業目標も念頭に置き、フレキシブルなオフィスレイアウトをしましょう。
まとめ
ここまで小規模オフィスの魅力を引き出す、レイアウトのポイントをご紹介しました。レイアウト次第で、企業の強みになるか不便さが目立つオフィスになるか、大きく分かれるため、それぞれの企業に合うレイアウト戦略を見つけることが大切です。小規模オフィスは配置の工夫が必要ですが、企業のこだわりを演出しやすいというメリットがあります。メリットを最大限に発揮するために、レイアウトのコンセプトを明確にしたうえで、機能的なゾーニングとストレス対策の工夫をして、コンパクトな空間でも快適に過ごせるオフィスをつくりましょう。