オフィスの環境は、従業員のモチベーションや生産性に大きく影響する要素です。快適で働きやすいオフィスであれば、従業員の集中力や想像力を高め、結果的に会社にとってプラスになるでしょう。そこで今回は、オフィス環境を改善するメリットや、改善に取り組むときの押さえておくべきポイントなどを解説します。
CONTENTS
オフィスの環境改善が必要な理由
現代の職場環境において、従業員の生産性や満足度を向上させることは、企業の競争力を維持するうえで欠かせない要素です。ここでは、オフィス環境改善が必要な理由を具体的に解説します。
生産性向上
オフィス環境は、従業員の集中力や作業効率に大きく影響します。快適で機能的なオフィスは、生産性向上に不可欠な要素です。人間は、快適でストレスの少ない環境下で最大限のパフォーマンスを発揮します。
具体的には、適切な明るさの照明は目の疲れを軽減し、集中力を維持するのに役立ちます。また、静かで整理整頓された空間は、集中力や思考力を高めてくれるのです。
さらに、人間工学に基づいた椅子やデスクは、身体的な負担を軽減し、作業効率を高めてくれるでしょう。このように、作業環境によって能率は変化するため、従業員の能力を最大限に引き出すためにオフィスの環境改善は必要です。
従業員満足度向上
快適で働きやすいオフィス環境は、従業員のモチベーションを高め、職場への愛着を深めます。従業員の満足度が向上すれば、優秀な人材の獲得、人材の定着、モチベーション向上など組織全体の活性化につながるでしょう。
具体的には、リラックスできる休憩スペースや、自然光が差し込む明るいオフィスは、従業員の気分転換を促し、ストレスを軽減します。
また、従業員同士のコミュニケーションを促進するスペースを設置すれば、チームワークを高め、社内の一体感を醸成できるでしょう。
従業員満足度向上のためには、快適性、健康増進、コミュニケーション、企業文化などを考慮したオフィス環境を構築することが重要です。
コスト削減
オフィス環境改善は、初期投資は必要となるものの、長期的に見るとコスト削減につながります。なぜなら、エネルギー効率の向上、スペースの有効活用などによって、ランニングコストを削減できるからです。
具体的には、断熱性能の高い窓や壁を導入やLED照明を導入すればエネルギー消費量を削減できるでしょう。
また、オフィス環境を整えることにより、社員の満足度が向上し、生産性が高まれば、人件費そのものを削減できるため、中長期的にみて企業に大きなメリットをもたらしてくれるのです。
リスク管理
オフィス環境改善は、労働災害の防止、感染症対策、災害対策などによって、従業員の安全と健康を守り、事業継続性を高めます。
安心、安全に働ける職場環境であれば、社員の生産性は高まり、ストレスは低減されるはずです。事業の継続的発展のために、リスク管理を重視したオフィス環境改善は最優先事項といえるでしょう。
企業イメージ向上
オフィス環境を改善することで、企業のブランドイメージを高められます。ブランドイメージが高まれば、優秀な人材の獲得など、採用活動の活性化にもつながるのです。
おしゃれで快適なオフィスは、企業の創造性や革新性をアピールし、求職者にとって魅力的な職場となるでしょう。
例えば、デザイン性の高い家具やアート作品を配置したオフィスは、企業のセンスの良さを印象付けます。
さらに、最新技術を導入したオフィスは、訪問客に良い印象を与え、信頼性を高める要素となるのです。企業の個性を反映したオフィス環境は、求職者や取引先にとって魅力的な要素となるでしょう。
環境改善すべきオフィスの特徴
オフィスの環境を改善するには、自社のオフィスにどんな問題点があるのかを、客観的に理解する必要があります。そこで、まずは環境を改善すべき、オフィスの特徴を解説していきます。
音対策が適切ではない
オフィスには、さまざまな音が存在しますが、仕事を行う場所として、外部から騒音が聞こえたり、スタッフの会話が筒抜けだったりする環境は、オフィスとして適切でしょうか。
少なくとも、業務効率を向上したい企業において、そのオフィス環境は適切ではありません。
また、スペースが狭くスタッフ間の距離が近すぎる場合は、パソコンのキーボードを打つ音や、電話対応の声なども、ストレスが溜まる原因につながるため、改善すべきでしょう。
ただ、逆に静かすぎるオフィスも、問題となる場合もあります。実は静かすぎると、電話の声や資料をめくる音さえも、空間に響いてしまうためです。
スタッフは、常に気を抜かず音に対して気遣わなければならないため、スタッフ間のコミュニケーション不足やストレスが溜まってしまう原因となってしまうのです。
取引先との会議も、Web上で行われることも増えた現代において、オフィスの活用方法も変化しています。音対策は、スタッフの業務効率アップにとても重要なポイントです。
オフィスが暗い
オフィスの照明の明るさは、スタッフの業務効率に大きく影響を及ぼします。オフィスが暗いと、資料やパソコンのディスプレイが見にくくなり、目に負担がかかるだけでなく、スタッフの作業効率を低下させます。
また、照明不足はオフィス全体の雰囲気が暗くなり、スタッフは精神的にも落ち込みやすい状況に陥ってしまいます。
このように、照明の明るさは、スタッフのモチベーションや健康にも影響もあたえるため、オフィスの環境改善にとても重要なポイントです。
換気が不十分
たくさんのスタッフが働く場所として、オフィスの換気は、健康面や業務効率をあげる上でも、とても重要です。
換気が不十分な環境では、感染対策として不適切であるだけでなく、酸素不足に陥り、判断力や思考力が低下し、業務効率に影響をあたえてしまう可能性があります。
オフィスなどの建物は、建築基準法で定められた換気設備が、床面積と在籍人数に応じて設置されているため、基本的には換気がしっかりできています。
ただ、多くの人が出入りしたり、高層ビルで窓を開閉できなかったりする環境では、換気設備だけでは、不十分である場合もあります。定期的に窓を開閉したり、空気清浄機やサーキュレーターなどを活用したりするなど、オフィスにあった方法で、空気を循環させる方法を検討する必要があります。
動線や共有スペースの整理できていない
オフィス環境において、動線や共有スペースの整理整頓ができているかどうかも、とても重要なポイントです。
動線は、業務を行うにあたり、常にスタッフが行き来する通路です。その場所に、デスクや荷物があり、通るたびに人や物を避けたり、ぶつかってしまうような場合、一つひとつは些細なことでも、日々積み重なることでストレスとなり、大きな問題となってしまうでしょう。
また、書類などを保管する共有スペースの整理整頓ができていない場合も、必要な書類が見つからないなど、業務効率を著しく低下させ、スタッフはストレスを感じてしまいます。
さらにどんな人も「綺麗で整理整頓された、働きやすい職場で働きたい」と思うものです。動線や共有スペースの整理整頓は、オフィスの印象にも関わるとともに、スタッフの働くモチベーションにも影響を及ぼします。
使い心地の悪いオフィス家具
スタッフは、多くの時間をオフィスで過ごしており、デスクや椅子の座り心地や使いやすさも、オフィス環境にはとても重要です。
とくに、デスクワークが多いスタッフにおいては、長く座って作業することが多く、体に合っていないものを使い続けることで、肩こりや腰痛など健康面にも影響を及ぼしかねません。
スタッフの健康面に影響をあたえるということは、業務効率の低下を引き起こし、会社全体の生産性を下げることになるでしょう。
休憩スペースが確保できていない
会社の生産性を向上させるためには、スタッフのモチベーション向上や業務効率アップが必要不可欠です。つまり、スタッフの心と身体の健康を守り維持することも、オフィスの重要な役割なのです。
よってスタッフが、業務に集中して取り組むために、業務スペースだけでなく、一時的に仕事から離れて、他のスタッフとコミュニケーションを取れたり、リフレッシュできる休憩スペースの確保が、オフィス環境にはとても重要です。
休憩スペースを確保していない、もしくは確保していても利用しづらい場合には、スタッフは気が休まることがなく、生産性は低下するとともにモチベーション維持も難しいでしょう。
オフィス環境を改善する3つのメリット
オフィス環境を整えることは、企業運営において重要な施策の一つです。快適で機能的なオフィス空間は、単に働く場所という役割を超え、社員や企業にさまざまなのメリットをもたらします。
社員の満足度・モチベーション向上につながる
まず、オフィス環境の改善は社員の満足度やモチベーションの向上につながります。働きやすさを考慮した環境は、社員が心地よく仕事に取り組める土台を作るために大切です。
たとえば、広々としたスペースや適切な照明、居心地の良いオフィス家具があるなどの環境は、仕事に集中しやすく社員の心理的なストレスを軽減できます。また、良好なオフィス環境は社員同士のコミュニケーションを円滑にし、信頼感や連携を深める要素にもなります。
生産性・仕事の質の向上が期待できる
次に、オフィス環境の改善は生産性や仕事の質の向上も期待できます。社員が適度にリラックスできる空間は、集中力を維持するために欠かせません。具体的には、静音性の高い設備やリフレッシュスペースを設けることで、効率よく業務に取り組むことができるでしょう。
さらに、オープンスペースやコミュニケーションエリアを設けることで、意見交換や情報共有がしやすくなり、社内の風通しをよくすることも可能です。
仕事に集中でき、なおかつコミュニケーションが円滑な環境が整えば、一人ひとりの業務効率を高めるだけでなく従業員の能力を最大限に引き出す効果も期待できます。
企業イメージの向上につながる
そのほか、オフィス環境の改善は企業イメージの向上にもつながります。オフィスは、企業の姿勢や価値観を表現する場でもあります。たとえば、明るく開放的なデザインは、活気に満ちた職場であることを印象付ける要素になるでしょう。
一方、環境配慮型の設備や持続可能な素材を活用した設計は、企業の社会的責任を示し、環境意識の高さをアピールする手段になります。
このように、オフィスは企業イメージに直結します。来訪者や顧客、取引先に対して企業の魅力を伝えるだけでなく、優秀な人材を惹きつけるきっかけにもなるのです。
オフィス環境改善で取り組むことは？
オフィスの環境は、従業員の生産性や働きやすさに、大きな影響を与えます。快適で効率的な職場環境を整えることで、社員のモチベーション向上や業務の効率化につながり、企業全体の成果にも好影響をもたらします。
では、オフィスの環境改善のために、具体的にどのような取り組みができるのか、いくつかのポイントに分けて解説していきます。
レイアウトを見直す
まずは、オフィスの中で占める割合の多い、デスクやキャビネットのレイアウトを見直していきましょう。レイアウトを決める際に重要なポイントは、スタッフが動きやすい動線が確保されているかどうかが大切です。
たとえば、デスクからコピー機までの動線が、すべてのスタッフがスムーズにアクセスできる場所にあるのかや、共有スペースやキャビネットなどへのアクセスはどうかなど、具体的な業務内容に合わせて、検討してみましょう。
最近、多くの企業で取り入れているフリーアドレス制の導入も検討してみると、レイアウトの可能性が広がるはずです。
フリーアドレス制のメリットは、レイアウトの可能性を広げるだけでなく、多くのスタッフ間のコミュニケーションを活発にし、業務スペースの削減につながります。
さらに、リモートワークも取り入れている企業であれば、さらに業務スペースは削減できる可能性もあります。
レイアウトの見直しは、動線や共有スペースの使いやすさだけでなく、スタッフの業務効率やコミュニケーション向上などにも影響を与えます。自社の業務内容や働き方をしっかり理解した上で、慎重に検討することが大切です。
機能性があるオフィス家具に変更する
多くの人が長い時間を過ごすオフィスには、使い心地の良い機能性の高いデスクや椅子を選択するようにしましょう。
体に合わないデスクや椅子を使用し続けることで、肩こりや腰痛などを引き起こし、スタッフの健康面に影響を与えてしまいます。
近年では、座りすぎによる健康面への影響が証明され、広く知られるようになりました。そのため、姿勢サポートしてくれるような機能性の高い椅子を使用したり、椅子ではなくバランスボールなどを利用したりする人も多くなっています。
また企業によっては、デスクを昇降式だったり、天板角度を変更できたりするものに変更し、姿勢や健康に配慮する取り組みを行っています。
スタッフの心と身体を健やかに保ち、業務に集中して取り組むことができるように、オフィス家具にはデザイン性だけでなく、機能性を重要視することをおすすめします。
適切な照明を設置する
適切な照明は、目の疲れを軽減し、集中力を向上させる重要な要素です。照明の明るさが足りないオフィスでは、パソコン画面や書類が見えづらく、スタッフ間のコミュニケーション不足を引き起こし、作業効率の低下につながるためです。
とくに、パソコン作業の多いオフィスでは、光の当たり方や明るさが重要であり、照明の数を増やしたり、種類を変えたりすることが大切です。
また、オフィスの明るさは、スタッフの雰囲気にも影響を与えます。モチベーション向上のためにも、照明は適切に設置するようにしましょう。
音対策を検討する
オフィスの音対策は、作業に集中する環境を作り出すためにも、とても重要なポイントです。オフィスは、騒音はもちろんのこと、静かすぎても、スタッフは気疲れしてしまいストレスにつながります。
外部からの騒音や、会議室の音漏れなどの対策としては、防音スペースを整備したり、壁や窓に防音シートを貼るなどの方法があります。
逆に、オフィスが静かすぎる場合には、川のせせらぎなどのBGMを流してみるのも良いでしょう。
空調環境を改善する
オフィスの空気がこもると、眠気や集中力の低下につながります。よって、感染対策もかねて定期的な換気を行い、新鮮な空気を取り入れることが大切です。
また、換気もそうですが、温度や湿度は、快適性に大きく影響します。スタッフが業務に集中するには、心地よい温度と湿度に管理されていることがとても重要です。
エアコンや換気扇、空気清浄機、加湿器などを適切に設置し、オフィス内のどの場所にいても空調環境が安定するように調整しましょう。
また、観葉植物をオフィスに設置することもおすすめです。空気が浄化されるとともに、グリーンはスタッフに癒しを与えてくれます。
休憩スペースの確保する
オフィス内にリラックスできる休憩スペースを確保することも、とても重要なポイントです。休憩スペースを確保することで、スタッフは一時的にデスクから離れリフレッシュすることができます。
適度に休める環境のほうが、作業効率が上がるという効果もあり、企業によっては、カフェや仮眠ルームを設置しているところもあります。
また、休憩スペースを確保することで、部署を越えたスタッフ同士のコミュニケーションが活性化されることで、業務の円滑化やアイデアの共有がしやすくなります。
休憩スペースを、気軽にミーティングできるようなスペースとすれば、カジュアルな空間で気兼ねなく意見交換ができる雰囲気作りにもつながります。
よって、休憩スペースを確保する場合には、どのような効果を期待するかを考慮に入れつつ、誰もがアクセスしやすく利用しやすい場所になるよう、レイアウトなど検討することが大切です。
オフィス改善をする際におさえておきたいポイント
オフィス環境の改善は、社員の生産性や集中力を向上させたり、企業のイメージアップにつながったりする重要なポイントです。しかし、期待するメリットを得ることができ、効果的な改善を行うには、ポイントを押さえて計画的に進めることが大切です。
まず、快適なオフィス空間を作るためには、温度や湿度を適切に保つことが欠かせません。空調設備を見直し、季節や天候に応じた最適な環境を整えることで、社員が快適に働ける基盤を作ります。
さらに、照明の配置にも注意を払いましょう。自然光を効果的に取り入れつつ、適切な人工照明を補完的に配置することで、作業効率を向上させることができます。
次に、オフィスの音環境を改善することも大切です。防音パネルやカーペットを導入することで、雑音を抑え集中しやすい環境を整えましょう。さらに、適度なBGMを取り入れるとリラックス効果が期待でき、社員のストレス軽減にもつながります。
音に加えて、香りの工夫も効果的です。リフレッシュ効果のあるアロマを取り入れることで、リラックスした状態で仕事に集中できるようになります。また、オフィスの内装や家具にもこだわることもポイントです。快適さと機能性を兼ね備えた家具に取り替えれば、長時間の作業による体の負担を軽減できます。
さらに、デザインや内装も工夫し、適度にアートや観葉植物を取り入れることで、心地よい空間を演出できるでしょう。さらに、オフィスの環境改善においては、コミュニケーションスペースを充実させることも大切です。社員同士が自由に意見を交わせるオープンスペースを設けることで、会議の際などにアイデアが生まれやすくなります。
さらに、社員の身体的・精神的・社会的に良好な状態をサポートすることを意識することもポイントです。社員が健康で充実した日々を過ごせるよう、多様な働き方に対応できる柔軟な環境を整えましょう。
たとえば、リモートワークやフレキシブルな勤務体制をサポートできれば、働きやすい環境の実現につながります。加えて、安全性を高めるための設備投資も欠かせません。防災対策やセキュリティ強化に取り組むことで、安心して働ける職場環境を保てます。
このように、オフィスの環境改善は、どのような環境を実現したいのかを明確にして、ポイントを意識して取り組むことが大切です。単なる空間の変更ではなく、従業員が働きやすい環境を実現するとともに、企業成長につながる施策であることを意識し、計画的に改善を進めましょう。
まとめ
今回は、オフィスの環境を改善するメリットや押さえておくべきポイントについて解説しました。オフィスは単に働くための場所ではなく、さまざまな面を考慮して働きやすい環境にすることで、従業員の満足度やモチベーションの向上、仕事の質の向上、企業のブランドイメーの向上などのメリットが期待できます。ハード面とソフト面でどのようなポイントを意識すべきか調べて、実現したい環境に合わせて改善に取り組むのがおすすめです。
